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『会社辞めましたが何か?』からブログ名変えました

「大阪万博工事の納期が間に合わない…残業規制を適用させないでくれ!」←これが激ヤバの理由

万博工事に「残業規制を適用しないで」 作業遅れ協会が政府に要望

 

大阪・関西万博で参加国・地域が費用を負担して建てるパビリオンの建設が遅れている問題で、

主催する日本国際博覧会協会(万博協会)側が政府に対し、

来春に始まる建設業界への時間外労働の上限規制を、万博に適用しないよう要望したことが27日、わかった。

ただ、関係者からは慎重意見が相次いでいる。

パビリオンは建設が遅れ、2025年の開幕に間に合わない懸念も出ている。

また、24年4月からは、19年に始まった時間外労働の上限規制が建設業界にも適用され、

ますます人手の確保が難しくなるとみられる「2024年問題」が控える。

時間外労働は、労使で協定を結んだ場合で年360時間、特別条項をつけた場合は年720時間以内などに制限される。

複数の関係者によると、万博協会は日に日に工期が短くなる中、

限られた日程で完成させるため、政府に対して万博を適用除外とするよう求めた。

news.yahoo.co.jp

2025年4月13日~10月13日の約半年間、大阪は夢洲(ゆめしま)にて

大阪万博が開催予定…なのですが、「工事が遅れており残業規制を適用させないでくれ」と

主催者側が日本政府に求めたというニュースです。

 

報道したのは左派系の朝日新聞ですが、右派系の産経新聞も報じているので 

どうも大阪万博は、2025年の開幕前から雲行きが怪しくなっている様子です。

 news.yahoo.co.jp

 

 

今回の記事では

「大阪万博工事が遅れている理由とは何か?」

「大阪万博が求めている残業規制の不適用とは何か?」

「大阪万博の残業規制を不適用を求めた事に対するネットの反応」

「残業規制の撤廃が激ヤバと私が感じた3つの理由」

を、書いていきます。

1.万博工事が遅れている理由「海外の出展国との調整が進んでいない」

万博工事が遅れている理由は「海外から出展する国と、工事を担当する国内業者との調整が捗っていない」為です。

 

本来の万博スケジュールとしては、2023年4月時点で敷地を引き渡して工事を行う予定だった

万博公式ホームページに記載あります。

しかし海外パビリオンの建設申請は、2023年7月半ば時点でゼロです。

つまり、2023年7月末時点で工期が既に4ヶ月以上遅れている(更に遅れる予定)訳ですね…。

 

大阪・関西万博 海外パビリオンの建設申請ゼロ 誘致した竹本直一元議員「苦労があって初めて立派になる」

 

開催まで2年を切った「大阪・関西万博」。

しかし、7月に入り進捗に懸念を示す声が上がっている。

参加する153の国と地域のうち、約50が独自のパビリオンを建てる予定だが、

必要な建設申請が未だにゼロであることが判明。

関係閣僚の会見では、「期日どおり開催できるのか?」という質問も出た。

引用元:大阪・関西万博 海外パビリオンの建設申請ゼロ 誘致した竹本直一元議員「苦労があって初めて立派になる」(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース

 

 

本来なら工事をとっくに始まっているのに、出展するのか?しないのか?それすら決まっていない…。

刻一刻と短くなる納期、現場はイライラして監督は職人と役所で板挟み…

あぁアァぁぁ嗚呼ぁアぁああ!(トラウマ発症

 

1-1.海外の出展国・建築会社「こんなにお金がかかるとはなぁ…」



海外の出展国と国内の建築会社、それぞれにも言い分はあります。

 

海外の出展国「万博は我が国の威信・技術等をアピールする機会!

故に手の込んだパビリオンを作りたいがお金がかかりすぎ!

 

建築会社「先方はやるかやらないか決断すらしない!

ただでさえ人手不足なのに、工期も短くなるし資材も高いから旨味が無い!

 

新型コロナやロシアのウクライナ侵攻とかも相まって、世界中で物価高ですからね…。

一概に海外の国や建設会社を責められないと思いますよ。

 

「ここで出展するかしないか迷ってるフリしたら、工賃安くならんかなぁ」(ニチャア

みたいな国もあるかもしれませんがね。

1-1の補足①:「安いパビリオンじゃダメなんですか?」→ダメなんだな、それが…

万博など多国間で集まるイベントは、参加国の技術力・文化力・威厳をアピールする場です。

決して参加国は軽く見られるような展示物は絶対に作れない、正確には作ってはいけないんですね。

日本国民はもちろん、他国からのVIPも訪れるので、下手なパビリオンはビジネスチャンスを無くしてしまいます。

 

「我が国の独自性を打ち出したパビリオンを作りたい!他国に負けないアピールをしたい!

でも建設費用が高過ぎる…」というのが、海外の本音とみて差し支えないでしょう。

1-2.実は日本のパビリオン『日本館』も建設してないのでセーフ…なのか?

海外パビリオン出展で大阪万博がぐだぐだしている中、日本のパビリオンは

入札不成立*1と、ぐだぐだ度では負けていません。

さらに海外だけではなく、日本政府のパビリオン「日本館」も建設工事の入札も“不成立”となっています。

引用元:大阪・関西万博がピンチ?海外パビリオンの建設申請いまだ“ゼロ” 建設業者が指摘する「3つの背景」【news23】(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

そんなとこで張り合わなくてええねん…。

 

開催国である日本すら、業者と日本のパビリオンの入札が決まらず工事が始まらない始末。

そりゃ海外の出展国が工事できますか?って言われると…ねぇ…。

1-3.大阪万博が取れる4つの選択肢

2025年4月の開催まで約1年半を切った大阪万博、しかしお世辞にも順調とは言えません。

いずれ大阪万博は『強行』『延期』『工事を並行しつつ開催』『中止』の4択が迫られます。

  内容
強行

当初の予定通り2025年4月開催する

突貫工事による労災リスク大

延期

大阪万博の開催を1年延期する

新型コロナが原因でドバイ万博で延期した実績あり

工事を並行しつつ開催 2025年4月に開催するが
未完成のパビリオンは完成次第披露する
中止

大阪万博の開催を中止する

確率としてはかなり低い

大阪万博の『中止』は確率としてはかなり低く、延期になったとしても開催するだろうと思います。

 

2022年開催予定だったブエノスアイレス国際博覧会は

新型コロナと経済危機により、会場の建設工事ができなくなり中止になりましたが

日本はコロナ禍を乗り越えつつあり、経済規模はブエノスアイレスを大きく上回っています。

 

その為、大阪万博は開催されると見ています。

予想としては『並行しつつ開催』→『強行』→『延期』→『中止』です。

仮に延期になったとしても、開催時期は2026年の4月~10月になるでしょう。

4月~10月の時期はゴールデンウィークと夏休みという、日本で最もレジャー産業の書入れ時がありますからね。

2.大阪万博が求めている残業規制の不適用とは?

大阪万博が求めている残業規制の不適用とは下記の通りになります。

  • 1年間の内、時間外労働は月45時間、年360時間を6ヶ月までを上限としていた
  • これを利用して1年の内残りの6ヶ月は上限なしで時間外労働を行っていた
  • 罰則による強制力が無く、特別条項付き36(サブロク)協定を結ぶだけで可能だった

要は1年間の内、半年間は上限が決まっていたけど残りの半年は上限なしで残業OKだった。

それも36協定と呼ばれる書類に署名するだけでOKだったんですね。

引用元:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説 P4より抜粋

 

大阪万博主催者「このままのペースだと大阪万博開催まで工事が間に合わない!

改正前のように上限なしで残業させてくれ!」と、言っている訳です。

(^ω^)<…。

 

 

「なに被害者面してんだ?」と、正直に

答えたくなっちゃいますね♡

だって残業するのは主催者側じゃなくて、現場の人間だけですもん。(白目

 

ちなみに私の体験談ですが、36協定を結ぶ際の書類に残業云々の説明は、どこの現場でも無かったです。

幸いにも極端すぎる残業は無かったというのもありますがね…。

2-1.余談:残業が規制されるに至った悲しすぎる背景と2024問題について

2008年のリーマン・ショック以降、ブラック企業による過労死や

過剰な残業で肉体的・精神的に体を壊してしまう労働者が社会問題となりました。

 

これを受けて時の内閣総理大臣『安倍晋三』は、働き方改革関連法案を導入。

その一環として残業時間に制限をかけて、健康的な生活を送ってもらえるよう法改正をしたのです。

 

これに反発したのが、残業ありきだった運送や建設などの業界です。

そこで労働環境を改善するよう、施行年の2019年から2024年の5年間で改善しなさいと、猶予期間を設けました。

しかし5年間の猶予期限が切れる2024年を目前にしても労働環境も大して改善していない…これが世間を賑わす2024問題です。

3.残業規制の不適用を求めた事に対するネットの反応は…

 

Twitterでは当然ながら非難轟々、当たり前ですな。

Yahoo!JAPANのコメント数は5,000オーバー、このコメント数って結構な大事件だったりします。

 

ただでさえ過重労働や労災に対する世間の目は厳しい最中

「万博なら仕方ないね!残業規制無しで良いよ!」ってOK出すのは

まず無いと思いますが…。

4.「残業規制不適用を求めた…?これ激ヤバじゃん!」と感じた3つの理由

  • 万博は残業規制無しでOK?ウチは不公平じゃないか!って声が出る
  • 建設業界「万博OKなら、その辺の現場でも残業規制無しで申請したろ!」になる
  • 昼夜突貫工事になるので労災のリスクが高まる

大阪万博が残業規制の不適用を求めてOKになったら、上記3つの理由で激ヤバです。

元肉体労働者だった私なら、間違いなく辞めるかトンでやりますね、こんな現場。

やってらんねえですよホント。

理由1:「大阪万博が残業規制無しならウチもOKにしろ!」という声が出る

「大阪万博は日本のイベントだから特例で!」そんな理論は通用しません。

「万博がOKなのにウチ(運輸業界や他の建設業者等)が、なんでダメなんだ!?」って声は間違いなく出ます。

 

日本は法治国家である以上、法律に従わなくてはいけません。

特例を認めるなら認めるに足る事情が必要ですが、大阪万博は対象か?と言われると個人的にはNOです。

 

そもそも残業規制自体は2019年から始まっており、2024年まで猶予期間があったんです。

「5年間猶予をもらったけど、大阪万博の為に猶予を延長で」

なんてムシの良い話は、国民も他業種も納得いかないですよ。

理由2:建築業界全体で「残業規制なんて無視していいや」とグダグダになる

大阪万博でOKという国の許しが出た!じゃあここの建築現場も残業規制無しで行こう!

そんな訳無いと思います?起こりえるんですよ…余りにひどすぎる現場では…ですが。

 

一応、法改正後は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則はありますが

そこを色んな方法で〇〇〇するのは…まあ、あります。

 

そして一度こういう事をやり出す現場が出ると、他所の現場にも結構な速さで広がります。

結果、建築業界全体で「残業規制の法なんか無視していい」という風潮になってしまうんですね。

理由3:肉体労働のデスマーチが始まる、即ち労災が頻発する恐怖

大阪万博は2023年4月には工事が始まっている予定でした。

しかし2023年7月末になっても工事は始まっておらず、既に遅れが出ています。

 

ここから2025年4月の開催に間に合わせる為に、残業規制を不適用にすると

「急ピッチで昼夜突貫工事=肉体労働のデスマーチ」になるでしょう。

当然、こんな現場では労災事故が頻発しますし、死亡者が出ることもあります。

 

「大阪万博は開催された…多くの肉体労働者達の負傷者や亡骸を礎にして…。」

って、後年N〇K辺りがナレーションを流してそう…。

そんな曰くつきの会場で、万博を楽しめる訳ないです。

 

似たような事例なら2022年のカタールW杯*2がありますからね…。

労働者を守る為に作られた残業規制…これは守るべきだ

残業規制は、過酷な残業から労働者の心と体を守る為に作られた仕組みです。

しかし「万博があるから…」と一度でも認めたら、骨抜きになります。

 

大阪万博は世界中にコロナ禍以降も立ち続ける日本をアピール出来るビッグイベントなのは確かです。

だからといって労働者を酷使して良いのか?これにはNOを突き付けるべきだと思います。

*1:人手不足や資材高騰、スケジューリングが難しかったり採算に合わず参加する業者がいない等、様々な理由で公共工事を請け負う業者が決まらないこと

*2:2022年カタールW杯では、出稼ぎの外国人労働者達を酷使(一部事故死)した挙句、一斉帰国を命じて世界中から批判を受けた