大阪万博「アカン…このままじゃ工事が間に合わへん…せや!プレハブで建てたろ!」…なるほど、その手があったか
万博協会、「プレハブ」の建て売りを検討 パビリオン建設の遅れで
大阪・関西万博の参加国・地域が費用を負担して建てるパビリオンの手続きが遅れている問題で、
主催する日本国際博覧会協会(万博協会)が、特に遅れている国・地域に対し、
協会側が箱のような建物を建て、内外の装飾を任せる「建て売り方式」を検討していることがわかった。
建設費はこの方式を受け入れた国・地域に求める。
万博のパビリオンは、国・地域が自費で設計・建設する「タイプA」や、協会が建てた施設を引き渡す「タイプB」などがある。
遅れが目立つのは、56カ国・地域の建設が見込まれているタイプAで、
2025年4月の開幕まであと1年8カ月余りだが、建設に必要な大阪市への許可申請があったのは1件だけだ。
関係者によると、タイプAの建設を支援する一方、開幕に間に合いそうにない国・地域には
工期が短い「プレハブ工法」で箱のような建物を代わりに建てて引き渡す。
それぞれの国・地域が独自のパビリオンとして、内外の装飾を手がけることを提案するという。
(引用ここまで)
おや、「大阪万博開催まで工事が終わらないので残業規制を適用させないでくれ」と
大阪万博主催者が国に泣きついた件で続報が来ましたね。
前に書いた記事がこちら。
「パビリオンをプレハブで建てておくので、予算が乏しい国は内装に力を入れてほしい。
もちろん予算はかかるが独自性の高いパビリオンは、引き続き受注する」と。
個人的には「なるほど、うまい事を考えたな」と、思わず膝を打ちましたね。
今回は大阪万博が打ち出したプレハブ工法について、書いていきます。
1.プレハブ工法とは『住める家の模型』を組み立てること
日本におけるプレハブとは、仮設住宅のように簡素な建築物に用いられることが多い工法です。
プレハブ工法の歴史は古く1960年前後には、前身のプレハブ住宅が販売されています。
仮設住宅や賃貸用の集合住宅で採用される事が多い工法で、
下記画像のようにプラモデルのような組み方をするのが特徴的な工法です。
家の部品となる材料は、工場で大量生産された既製品です。
後は現場に届けて、ユニックやクレーン等の機材で釣り上げて、作業員がはめ込むだけ。
図面や部品、基礎工事に問題なければ、あっという間に組み立てが終わります。
初見だとスピードの速さに驚きますよ、マジで。
特徴的なのが大量生産された部品によるコストの安さと、建築期間の短さです。
一般的な集合住宅なら、基礎工事後から完成まで2ヶ月もあれば内装か、引き渡しまで終わります。
現場の作業員も負担が少ないので、工事しやすいのもメリットですね。
1-1.大阪万博のパビリオンでプレハブ工法を採用する4つのメリット
- 工賃が安いので、内装に力を入れられる
- 既製品で組み立てるので短期間でパビリオンの外枠が完成する
- 現場の作業員に求められる技量と負担は少ない
- 撤去も簡単なので、2029年の大阪カジノまで廃棄物が残らない
大阪万博で各国のパビリオン建築が進まない理由は建築コストの増加です。
プレハブ工法なら建築費を抑えつつ、建築期間も短く出来ます。
開催までに工事を終わらせたい大阪万博側と、コストを抑えて展示したい参加国の両者にメリットがある工法です。
「プレハブ工法なら、開催国・万博側どちらにもメリットがある…。
歴史の長い工法なので、作業員に過度な技量や残業を強いる事も無い」
良い落とし所であり、うまい事を考えたなあと思いますよ。
1-1の補足①:大阪万博後に撤去しやすいのもメリット
大阪万博の会場となる夢洲は、2029年冬季に大阪IRの開業場所として予定されています。
2025年10月の大阪万博終了後には、すぐにパビリオンを撤去しなければいけません。
その点、プレハブ工法で作られたパビリオンは、作り自体はシンプルなので撤去しやすいんですね。
しかも日本で採用されている部品ですから、業者も手馴れているかと思われます。
1-2.大阪万博でプレハブ工法を採用する3つのデメリット
- 外観で各国の独自性が打ち出しにくい
- 既製品を使うので、内部のレイアウトが似てしまう
- 作りはどうしても薄っぺらい
プレハブ工法で採用された建物は『他の建物と差別化しにくい』のがデメリットです。
部品も既製品を使うので、見た目が大きく異なるパビリオンを作るのは難しくなります。
プレハブ工法で作られたパビリオンのレイアウトが国ごとに大きく違うと「不公平だ!」という声が出るでしょう。
「見る人が見ればプレハブ工法で作られた建物は薄っぺらく感じる」のもデメリットです。
「パビリオンは国を代表する建築物…プレハブ工法の建築物で、どうやったら上手く見せられるか?」
各国パビリオンの外観や内装のデザイン担当者は、頭を抱える光景が目に浮かびますが…
頑張ってくださいね♡
作業員に過度な負担を求めない選択肢が出たのは評価したい!
大阪万博開催の為に、残業の上限規制を適用させないでくれ!といった声が出た時は
「いやいや、それはダメだろ!」と私は感じましたし、ネット上には中止を求める声すら出るほどでした。
国の動きも早く、28日には加藤勝信厚生労働相により「業務の繁忙では認められない」とバッサリ断られています。
今回挙がったプレハブ工法で工事期間と負担を少なめにしつつ、工事費も少なくしようという案は
私個人としては「Good Job!」評価、良い案だと思います。
他にもパビリオン向きの工法があるかもしれませんね。
あとは参加国にプレハブ工法という選択肢をどれだけ魅力的にプレゼンできるか?
この点に期待しましょう。