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奨学金”だけ”で自己破産(債務整理)をおすすめしない3つの理由

前回の記事で奨学金の返済がキツイ時、自己破産は最終手段と書いた。

実際、奨学金”だけ”で自己破産をするのは、悪手だと思っている。

自己破産は日本国民の権利なので、もちろん手続きは誰でも出来る。

奨学金は金額も大きく、それを支払わなくてよいのは大変魅力的だ。

では何故私は奨学金だけが原因で自己破産をすすめないのか?今回はそれを語る。

 

この記事のまとめ

  • 奨学金は任意整理でも返済金額がほぼ減らない
  • 任意整理はやる意味が薄い
  • 個人再生はJASSOが応じない可能性が高い
  • 人的保障の連帯保証人に請求が行ってしまう
  • 借金が奨学金だけなら猶予・減額で返済の負担を減らした方が楽

奨学金債務整理は相性がすごく悪い

なぜ奨学金だけで自己破産するのがNGなのか?

それは自己破産含めて日本に3種類存在する債務整理が、奨学金と相性が悪い為だ。

  • 任意整理は利率の安さが仇となって旨味が少ない
  • 個人再生はJASSOが応じない可能性がある
  • 個人再生と自己破産は連帯保証人・保証人に請求が行ってしまう

詳しい理由を解説する前に、日本で認められる3つの債務整理

『任意整理』『個人再生』『自己破産』について、軽く解説したい。

■■3つの債務整理、任意整理・個人再生・自己破産とは

日本では個人が借金で首が回らなくなった時、任意整理・個人再生・自己破産と呼ばれる

3つの債務整理が権利として認められている。

この3つの債務整理をザックリ解説すると、以下のようになる。

  • 弁護士と債権者が直接やり取りし、利率分をカットした借金を5年で返済する任意整理
  • 圧縮した借金を原則3年間で返済計画を立て、計画通りに返済する個人再生
  • 全ての債権者の間にある債務(借金)の、支払いを免除する自己破産

一見すると借金の減額、または免除と良い事ずくめのようになっている。

しかし、そうは問屋が卸さない。

金利の安さが仇となり任意整理はメリットが薄い

借金全体にかかる利率分をカットする任意整理は、元々金利が低い奨学金だとメリットが薄い。

一般的な教育ローンの利率が年2%前後に対し、利率のある第二種奨学金でも年1%を超える事は滅多と無いのだ。

そういう意味では、実はJASSOの奨学金は良心的とも言える。

だが、結果として任意整理を行ったとしても旨味は薄い。

極論言えば、任意整理より返還猶予で1年待ってもらい、その間に生活を立て直した方がよっぽど良いだろう。

■個人再生はJASSOが応じない可能性がある

個人再生は裁判所が定めた日まで再生計画案を出して、それを債権者が同意した場合に認められる。

ただし債権者数の半数以上、または債権額で過半数の債権者からNGを出されると個人再生に許可が出ないのだ。

奨学金は金額も大きいので、債権額の過半数を占めている人も少なくないだろう。

JASSOからすれば「猶予や減額の制度がある。個人再生は認めない」と応じない可能性も少なくない。

 

ちなみに仮に個人再生が出来たとしても、回収できない債権の支払いは連帯保証人や保証人に行く。

自己破産と同様に、債務者と連帯保証人・保証人がダブルで債務整理になる可能性も充分ある。

そういう意味でも奨学金に個人再生はおすすめしない。

 

…私も小耳に挟んだ程度なのだが、弁護士の間でもJASSOは個人再生に応じない可能性が高いとか。

■個人再生・自己破産は連帯保証人に請求が行ってしまう

自己破産は国が「債務者の債務は免除する」と認める、正に債務整理のリーサルウェポン。

だが「債務者本人は支払わなくても良い。ただし連帯保証人や保証人は除く」という落とし穴があるのだ。

子供が奨学金を自己破産したら親に請求が行ってしまい、親も自己破産」は最早珍しくないが悲惨の一言。

 

奨学金を借りる時は、奨学生も親も返せなかった時は保証人に請求が行ってしまうことを肝に銘じてほしい。

そして保証人も万が一の時に返せる見込みが薄いなら、奨学金を申込む時は機関保証で奨学金を借りた方がおすすめだ。

奨学金を自己破産してもリスクが低い人は誰?

自己破産含む債務整理奨学金は相性がすこぶる悪い。

だが下記に該当する3パターンの人は、自己破産してもリスクが低め。

 

  • 奨学金の借入時に機関保証を選択した人
  • 保証人も自己破産をしようと考えている人
  • 他の金融機関からも借金がある人(ただし自己破産ではなく任意整理)

 

私自身は法律には、全くと言っていいほどの素人。

なので、あくまで一個人としての意見として考えておいてほしい。

■■機関保障を選択した人

奨学金の借入時、連帯保証人・保証人の人的保証ではなく、機関保証を選択した人は自己破産のリスクは低い。

機関保証の場合、債券は奨学生とJASSOと保証する機関(公益財団法人日本国際教育支援協会)のやり取りのみになる。

そこで奨学生が自己破産すると、後のやり取りはJASSOと保証機関だけになる為だ。

 

連絡先に登録した人へ何らかの連絡を受ける場合もあるが、あくまで連絡先なので奨学金を支払う必要は無い。

機関保証を選んだ奨学生が自己破産後、第三者に請求が行ったという話は聞いていないので

機関保証は、奨学金の中でも自己破産時のリスクが低い選択肢と言える。

 

ちなみに自分が機関保証か否かを判断する方法だが

スカラネットパーソナルにログイン後、詳細情報タブを押す。

画面を下にスクロールすると、保証制度の項目に記載されている。

■■実は保証人も自己破産の危機がある人

奨学金を自己破産すると連帯保証人・保証人に請求が行き、ダブル自己破産が最大の悲劇だ。

逆に言えば連帯保証人・保証人も自己破産する予定なら、デメリットも大して無いと言える。

 

ただダブル自己破産する場合、別々に弁護士を立てて動くのはおすすめしない。

弁護士間の連携や、自己破産のタイミング調整が必要と面倒くさい為。

やるなら債務整理に強い弁護士に、奨学生と保証人をまとめて面倒見てもらった方が安定するだろう。

 

奨学生だけでなく連帯保証人・保証人も生活ぶりが厳しそうなら

「最近コ〇ナのせいで仕事が減って、奨学金の支払いがキツくて…」

って、ポツリと切り出してみるのも…悪くない…かも?

■■他の金融機関に債務がある人は任意整理は悪くない

奨学金”だけ”では債務整理はおすすめしない。

だが奨学金以外にも別の教育ローン等で借金がある場合、任意整理は行う価値はある。

任意整理は特定の債権者だけ調整できるという特性があるのだ。

これは個人再生や自己破産では出来ない、任意整理だけの特権である。

 

例:奨学金以外にも連帯保証人のある教育ローンA社がある場合

奨学金は返還猶予を申請して1年間返済をストップ。

A社の教育ローンだけ任意整理を行い、利率カット+5年間分の返済開始

と、いう調整も可能だ。

 

この方法なら奨学金は返済までかなり猶予が出来るうえ、人的保証でも保証人に負担は無い。

A社の支払い金額も、利率をカットした残額が5年分(60回)に変更される。

5年以内に返済終了予定だったなら返済期限は伸びるが、1回の返済金額は減るので負担は減るだろう。

 

A社の利率分の請求が保証人に行くか否かは、担当の弁護士の腕次第なので、そこはお祈りポイントではあるが…。

奨学金は猶予・減額しても良いから返還が一番大事

言うまでも無いが、私は「奨学金は踏み倒した方がお得」と言うつもりは毛頭無い。

『借りたら返す』が社会のルールであり、債務整理はあくまで最終手段だ。

奨学金債務整理自体の相性は悪い点は変わらないので

返還や減額で生活を立て直し、それでもダメな時に債務整理を視野に入れよう。

 

この記事のまとめ

  • 奨学金は任意整理でも返済金額がほぼ減らない
  • 任意整理はやる意味が薄い
  • 個人再生はJASSOが応じない可能性が高い
  • 人的保障の連帯保証人に請求が行ってしまう
  • 借金が奨学金だけなら猶予・減額で返済の負担を減らした方が楽